一つ、また一つと…

 自宅警備員でしかも内勤だと、ほぼ外出しなくなる。クリーニング依頼品の回収、横浜市長選挙の期日前投票とかの複数の用事が重なると外回りの警備だ。

 クリーニング屋がちゃんと開店していることを確認しながら南区役所に向かう。いつものプロトコルで期日前投票が終わり、昔の記憶を頼りに中村町の釣具屋に向かう、10日後のハゼ釣りの餌の調達だ。中村川を下り、その釣具屋はすぐに見つかった。「はて、以前に来た時は真っ赤なつりえさと染め抜いたノボリが出てたはずだけど?」と訝しく思いながら、半開きの引き戸から店内へ体を忍び込ませる。「こんにちは~」といつもより高めのdBで声をかける。75歳位のお母さんが奥から出てきたので用件を伝える。

 「ごめんなさいねぇ、もうつりえさはやってないのよ~」と済まなさそうに答える。Y高の並びの店もつりえさを売らなくなって、しばらく経つ。釣具屋のお母さんが言うには、もう一軒あったらしいが、そこも廃業したらしい。釣具屋に行って、「アオイソメを『お猪口に一杯』ください。」なんてのは、もう完全に廃れてしまったのかも知れない…